試合後、日本代表選手とともにコートサイドに並んだファンとタッチやサイン、写真の求めに快く応じていたドイツ代表選手たち。
中でも超スターのウーヴェ・ゲンシュハイマー選手はたくさんのファンに囲まれながら、嫌な顔ひとつせずに対応していました。

 このあと記者会見が控えていたことから、やむなくすべての求めに応じられなかったウーヴェ。しかし、彼の口から思いもしない言葉を聞くことができました。

「記者会見が終わったら戻ってくるから待っていてね」と。

なぜサイン会がないんだい?

 そのほかの選手やスタッフたちもこの日サイン会がないことに「なぜなんだい?」と口を揃えていたといいます。

ウーヴェが会見から戻ったとき、来場者たちの姿はありませんでした。

翌日は日本を発ってドイツへと戻るだけ。「時間はたっぷりあるし、サインがほしいならいくらでも付き合えたのに…」

そこにはファンのことを大切にする愛ある思いが満ち溢れていました。

スタンドに投げ入れるサインボールは、それぞれに1人ずつ書いてほしいとの要請でしたが、彼らは1つひとつに選手、スタッフ全員がサインを書き入れました。

急き立てるようにサインの求めを打ち切ったり、送迎バスを体育館敷地内に入れたことで出待ちしていたファンを近づけないようにした大会スタッフを横目にしながら、すまなそうな表情をファンに送ったものでした。

ファンを置き去りにした日本とは…

「ファンを大事にするのは当たり前だろう。日本は違うのかい?」ーーそう言いたげでした。

JAPANツアーを専属広報とブロカメラマンがタッグを組み、連日ツイッターや公式YouTubeチャンネルで全世界に発信していたドイツ選手団。

ウーヴェをはじめ彼らの温かく紳士的な振る舞いに、ますます好意を抱いた一方、エキシビションマッチ入場でファンを置き去りにした日本の“それ”とは雲泥の差があると感じたものでした。

これから先、世界中の選手でだれが好きかと尋ねられる機会があれば、ためらいなく「それはウーヴェしか考えられない」と言い続けるでしょう。

    ※文脈で日本選手たちがファン対応しなかったと誤解された人がいたようですが、日本選手もドイツ選手らと同様に限られた時間内でファンの求めに応じていたし、サイン会があれば喜んで対応する思いだったことを付記します。
    それでもウーヴェ選手は係員の誘導を振り切ってでもファン対応しようとしたし、選手とファンの間に距離感があった大会運営についてドイツとの違いがあったことをお伝えしたくて記事にしました。ご理解いただければ幸いです。