かけがえのない日に高崎で再会!

23日のJAPANカップ高崎大会で注目する2人がいます。
1人はこのポーランド代表戦が「おりひめJAPAN」デビューとなる髙宮咲選手、そして、もう1人がJsportsのTV放送でゲスト出演する長嶋里沙さんです。ともに「群馬」に縁があり、中学生時代はJOC群馬県選抜のチームメイトで同じユニフォームを身にまといました。

そこで「23日はかけがいのない日」と口を揃える両ヒロインを「ハンドボール愛ジャーナル」でクローズアップしました(右・髙宮選手の写真はスポーツイベント・ハンドボール提供)

個性派左腕が代表デビュー

 髙宮選手は小柄(160㎝)ながらもクレバーでテクニカルなプレーが光る左腕のライトバック。所属するHC名古屋では、かつて「万年最下位」と称されたチームを上昇機運に乗せる先導役となり、今季からキャプテンに就任しました。

群馬県富岡中でハンドボールキャリアをスタート。文大杉並高(東京)でU-16代表、大阪教育大に進んで世界ジュニア選手権代表とステップを踏み、HC名古屋で3年目シーズンを迎えた昨年12月の日本代表合宿に育成選手として参加し、今回の日本代表入りにつなげました。

自身のブログ「今日のキョウちゃん」(キョウはニックネーム)は、しっかりと自分とハンドボールに向き合い、確かな文章力と魅力あふれる内容で読む人を引きつけ、私もすっかり“キョウちゃんファン”の1人になっています。
東京出身で中学生になって群馬県に転居し、富岡中でめぐり合ったハンドボールに打ち込んだ中学3年間でした。

高校以降は群馬から離れましたが「群馬でハンドボールを始めなかったらハンドボールをやっていなかったと思います」と振り返り、「SNSを見た何人もの知り合いが応援に来てくれるのを楽しみにしている」そうです。

㊧日本代表デビューで意欲満々 ㊨左から同期生の板野、角南果歩、大山、河嶋、髙宮選手

Jsportsでゲスト出演

 そして、我々ハンドボールファミリーみんなから「里沙ちゃん」として親しまれ、人気者になっている長嶋さんを、ここではいつものように里沙ちゃんと呼ぶことにします。
世界5大ミスコン(ミスコンテスト)の「2016ミス・スプラナショナルJAPAN」で優勝し、日本代表として晴れの世界大会でトップ25入りした経歴の持ち主。パリコレなどでスーパーモデルとして活躍する一方、今年の「ミス・スプラナショナル神奈川大会」をプロデュース、オーガナイズする大仕事をやり遂げました。

里沙ちゃんは「モデル業は大変なハードワークですが、そのベースとなる“根性”を養ってくれたのがハンドボールです!」と言い切ります。
彼女のハンドボールライフは甘楽一中(現・甘楽中)でスタートしました。いまは小学生チームの群馬ジュニアを指導する齋藤英邦さんのもとで「スポーツにはまったく縁遠く、身長が高いだけの文化系少女」(本人)がみっちり鍛え込まれ、高崎女高でも文武両立で3年間がんばり、卒業後もクラブチームでハンドボールを続けました。

法政大在学中からモデルとして頭角を表し、多彩な才能を伸ばす里沙ちゃんですが、こうして群馬県「高崎」で再びハンドボールに関われる喜びはひとしおのものがあるようです。
さらに日本代表として臨んだミス・スプラナショナルの本拠地はポーランド、2020年東京オリンピックのキャンプ地としてポーランドと協定を結んだ群馬県高崎市、法政大で学んだスポーツメディアなどなど、いろいろなものが里沙ちゃんと折り重なり合って今回のゲスト出演につながりました。

㊧今でもハンドボールを楽しむ里沙ちゃん ㊨2016年ミス・スプラナショナル日本代表を記念してチームRisa結成

JOC選抜のチームメイト!

 そうしてJOC選抜のチームメイトがこの「JAPANカップ高崎大会」のステージで再会することになるのです。
「同期の咲のプレーはとにかくずば抜けて上手かった記憶しかありません。中学の時からスピード、技術ともに群馬を代表する選手でした。
そんな咲と同じコートでハンドボールをしたのはもう10年以上も前ですが、関わり方は違えど再び同じ空間でハンドボールというキーワードのもとで再会できることが本当に嬉しいです」と里沙ちゃん。

そして「りーちゃん(里沙ちゃんのニックネーム)とは違う中学でライバル同士でした。長身を生かしたロングシュートがどうしても守れなくて悔しい思いをしたことをよく覚えています。りーちゃんとまさかこんな形でまた関わることができるなんて、とても嬉しく思っています。今はお互い違う立場ですが一緒に群馬県や日本のハンドボールを盛り上げていきたいです」と髙宮選手も笑顔を輝かせます。

里沙ちゃんの熱き想いは自身のFacebookページにも詳しく書かれています。このJAPANカップ高崎大会をきっかけにさらに自らの可能性を高め、2020年東京オリンピックではハンドボールのアンバサダーとして活躍するのが本人の夢だし、我々ハンドボールファミリもそう願っています。

JOC群馬選抜時代。前列左が髙宮選手、後列左が里沙ちゃん

背中押してくれた弟を元気に

また、髙宮選手には日本代表デビューのほかに、今大会ではもう1つの発奮材料があります。
大学卒業後の進路で迷っていた彼女に日本リーグ選手になることを決意させたのは弟の翔(かける、18才)クンでした。
ハンドボールがなによりも大好きな翔クンでしたが、血液の病気で中学生の時から入退院を繰り返し、富岡高に進んでハンドボール部に入ったものの、選手としての未来にピリオドを打ちました。
それでもマネージャーとして仲間たちの勝利に役に立ちたいと、モチベーションビデオを制作するなど選手たちと一緒に戦っていました。

姉の髙宮選手には、そんな翔クンの一生懸命な姿が「自分では叶えられなかったハンドボールプレーヤーとして高みをめざしてほしい」と訴えているように感じたのです。
そして「自分の分まで!」と背中を押された気持ちになった髙宮選手は「私ががんばることが弟の喜びになるし、元気づけることになる」と日本リーガーになる決意を固めたのでした。

全力チャレンジでいい報告を

そうして自分のハンドボールの原点になった群馬で「日本代表」としてコートに上るのです。もう奮起しないわけにはいきません。
翔クンはいま東京の病院で闘病生活を送っています。初めて手にした「35」の日本代表ユニフォームを見せた時の彼の笑顔が髙宮選手の目に焼き付いています。
23日の試合が終わったあと、すぐに入院先に駆けつける予定です。
名古屋ではバックプレーヤーですが代表では不慣れなサイドのポジションを命じられるかもしれないし、出場したとしても多くの出場時間を与えられる保証もありません。ベンチ入りも微妙という状況です。

しかし、「代表活動で勉強になることがいっぱいあったし、その成果を出せるよう全力でチャレンジしていきます。たぶん群馬に関係する女子の日本リーガーは私1人なので、群馬県の代表、そして小さな選手に勇気を与えるようなプレーがしたいです」ときっぱり。笑顔で迎えてくれるはずの翔くんに「いい報告をしたい」と闘志が高まる毎日です。

2人の再会まであとわずか。「お互いがんばろうね」と目と目を合わせたあとは、それぞれのステージで全力投球することになります。
23日高崎アリーナで14:00にスローオフ! 私の胸も今からドキドキ、ワクワクです。

※JAPANカップ高崎大会特設サイト