この日(2月21日)の早朝、うれしいニュースが伝わってきた。
彗星JAPANの新鋭ポスト・吉田守一(よしだ・しゅいち、筑波大1年)が自身のツイッターでポーランドリーグGrupa azoty タルヌフと契約したことを明らかにしたのだ。

若きチャレンジャーに熱いエール!

18才(2001年3月26日生まれ)の若さで日本代表入りした吉田は、先月クウェートで開催された第19回アジア男子選手権では正念場となったバーレーンとの3位決定戦で先発起用されると、持ち前のフィジカル(191㎝・108㎏)を生かしたピヴォットプレーとDFでフル出場に近いプレータイムでコートに立ち続け、日本の勝利(27−26)に貢献した。

そんな吉田のポーランドリーグ参戦は10日ほど前に決まったという。すぐさま旅支度を整えて16日に日本を発ち、20日にタルヌフと契約を交わす超スピードぶりだった。
タルヌフでは昨年10月から筑波大の2年先輩となる徳田廉之介(日本代表)がプレーしており、アジア選手権期間中に彼に海外チャレンジの希望を伝えたことから同クラブへの加入が打診され、自身で編集した世界ユース選手権(昨年8月に北マケドニアで開催)やアジア選手権でのプレー動画が判断材料となってトントン拍子で話が進んでいった。

吉田の加入をアナウンスしたチーム公式サイト

世界水準のDF力を身につけたい

もともと海外志向が強く、「ヨーロッパでプレーキャリアを積みたい」との思いを筑波大・藤本元監督に打ち明けていたという。
そして今回の件を藤本監督に相談したところ、すぐさまゴーサインが出て背中を押され、ポーランド行きを決意した吉田だった。

「海外に行けるチャンスがあるならどんどん行け、ヨーロッパで成長してこい、と藤本先生から言われたのが、とてもありがたかったです」と言葉を弾ませ、ポーランドで武者修行に励む徳田から「一緒にやろうぜ!」とのウェルカムメッセージとともに、実際に現地入りして、チームメイトとスムーズにコミュニケーションを取っているその様子を頼もしく感じたという。

19日にタルヌフのホーム戦を見学し、チームはリーグ2位の強豪PLOCKに16ー33と完敗したものの、「相手はめちゃめちゃ強くて、タルヌフがどれぐらいの実力なのかはしっかり把握できなかったかったですが、自分の強みであるフィジカルとガッツでは負けていないし、あとはコミュニケーションを取ってDFに生かしていけば出場チャンスはある、自分でもやれそうだと感じました」と口にした。
そして、「ヨーロッパらしい街並みが気に入っているし、こちらの人はみんな親切で優しいので住みやすいと思います」とも。

チーム公式サイトでいち早く動画入りで吉田の加入が紹介された

バスケットから転進したシンデレラボーイ

「(中学までやっていた)バスケットボールより、もっと自分の可能性を生かせる」との思いで和歌山県・那賀高に進学してハンドボールに転向すると、すぐにも抜群のポテンシャルが注目され、U-16やユースなどアンダーカテゴリーの代表メンバー入りとエリートコースの階段を駆け上っていった。
そして、世界ユース選手権でチームの中軸で活躍するプレーぶりがダグル・シグルドソン監督の目に止まり、昨年12月の代表合宿に初招集されてアジア選手権出場という、まさに〝シンデレラボーイ〟のサクセスストーリーが実現したのだった。

「しっかり食べ、しっかりトレーニングに励んでいる様子がひときわ光っていました。とっても意識が高い選手です」と語るのはNTC(ナショナルトレーニングセンター)を統括する河上千秋さんだ。
世界ユース時から5㎏以上の体重増にも成功して日本代表でも1、2を争うフィジカルを手に入れ、いまや東京オリンピックに向けた希望の星として大きな輝きを放ち始めた。

昨年8月の世界ユース選手権でチームの主軸として活躍

視線の先に「東京オリンピック」がしっかり

「アジア選手権で出場チャンスが得られたのは(ダグル監督から)自分の前にスペースを作れるポストプレーを評価されたと思っています。でもDFはまだ世界レベルに達していないのを実感したし、だから国内より海外でプレーしてDFの力を伸ばしたいと思っていたんです。しっかりと2枚目のDFができるようになってタルヌフの勝利に貢献したいし、日本代表の力になりたいです」とも言い切った。

その視線の先に「東京オリンピック」があるのは言うまでもない。「もちろんチャレンジしたい気持ちでいっぱいです。だからこそポーランドに渡ったんです」ときっぱり。

当面はしばらくポーランドに活動拠点を置き、その後は代表活動に合流しながら7月25日開幕の東京オリンピックをめざすことになる。筑波大からタルヌフへの移籍手続きが完了すれば、すぐにもリーグデビューが実現することになろう。4月からは大学を休学してハンドボール活動に専念する予定だ。

ダグル監督に猛アピール!

そんな意欲はダグル監督への猛アピールになったはず。負けじと笠原、玉川らのポスト陣も刺激を受けてハッスルプレーを見せるに違いない。そうして彗星JAPANがグングン力をつけていくならこんなうれしいことはない。
がんばれシュー! 世界に飛び出した若きチャレンジャーに熱い応援エールを送りたい。