アジアビーチ選手権が15日に開幕

第7回アジアビーチハンドボール選手権は中国・ウェイハイで男子が15日、女子は19日から開幕。4月6、7日の代表選考会に続き、6月1、2日の強化合宿(いずれも千葉県南房総市富浦町)を経た男女各10選手(メンバーリスト)の熱いチャレンジが間もなくスタートする。※トップ写真は日本選手団提供

このアジア選手権は今年10月、アメリカ・サンディエゴでの第1回ワールビーチゲームズの代表権を争うとされたものの、その開催が微妙になったことから、当面は2020年7月イタリアでの世界ビーチハンドボール選手権の出場権獲得がターゲットとなった。

※アジアビーチハンドボール選手権日程

ビーチボーラーの熱いチャレンジに注目!

それでも「アジアの頂点に立つ」と燃える選手たちの目標にブレはなく、富浦での2日間の合宿で実戦的なトレーニングに意欲的に取り組んだ。各選手にとっては2週間近くの遠征日程や費用負担を工面するなどハードルは低くはなかったが、それぞれに「日本ビーチハンドボールの歴史を刻みたい」とする決意がうかがわれた。

国際大会に出発時に集合して国内練習、現地で調整して本番に臨んでいたこれまでは、ようやく各自の呼吸があい、ビーチ特有のルールに慣れたころに大会は終わりというケースが続いていた。

しかし、今回は男子の東海Weeds!や女子のKUNOICHI、SHINEら定期的な練習を積んでいるチームの精鋭たちを主体に、ビーチキャリアが乏しくともポテンシャルが高く、伸び代のあるメンが多数加わった布陣で、スタッフたちはこれまでにない手応えを感じているようだ。

「ビーチハンドの歴史を刻みたい!」

大会は男子12カ国、女子6カ国がエントリー。男子は6カ国を2つに分けた予選リーグで上位2カ国が準決勝に進出し、女子は総当たりリーグで優勝を争うシステム。

インドアでは格下のパキスタンやベトナム、タイらが本格的なビーチ強化に取り組んで実力をつけ、男子ではカタールやオマーンらが7人制の代表メンバーを送り込んでくることから、2m近い大男たちを相手に戦わねばならない脅威もあるという。

「どこも強敵です。ここに勝てるというチームや試合はありません」と話すのは男子監督の沖本哲郎さん(日本ビーチハンドボール委員会副委員長、40才)。

2005年に関東のビーチイベントに初参加以来、現在の東海Weeds!のビーチチーム立ち上げや国内外のビーチ大会に何回も出場するなど屈指のビーチキャリアを誇り、昨年12月には女子代表が出場して4位になった台湾カップに監督として参加した。

「焦熱」ベースに「組織」で勝負!

そんな沖本さんに今回のアジア選手権の展望などを聞いてみた。

「選考会を経ての合宿など、これまでになく練習を積めたことで速攻の走り方などもチェックできたし、ミスなくやれば男女ともいい勝負ができるはず。

男子は6チームの予選リーグで当然2位以上、できるなら1位狙い。女子は総当たりリーグで初戦が地元の中国なので、どうしてもここに勝って勢いに乗りたいです。

ビーチ経験者たちの実力が上がり、キャリアが浅くても伸びしろが期待される選手たちが加わったことで全体的にレベルアップてします。さらには専門のトレーナーやドクターに帯同いただいたりと、これまでの「情熱」から「組織」として戦えるのが心強いです」と笑顔を浮かべた沖本さん。

ここ最近、海外のビーチトレンドは大きく様変わりしているという。ほとんどスカイやスピン(回転)、GKのシュートなど2点狙いのプレーが大半となり、確実に1点ずつ積み上げていく展開ではとても勝ち目は狙えないそうだ。

戦略性のいかんが分かれ目に

「4、5年前なら2点と1点が半々ぐらいでしたが、今はみな2点勝負で1点入れられてもラッキーというDFの考えですね。2点を狙ってくる相手のプレーをいかに狭いところに追い込むか、確率の低いところで打たせるかというDFだったり、シュートした相手GKが交代するポジションチェンジの隙をついてみたりと戦略性がかなり求められるようになりました。中国でもそんなところが勝敗を分けそうです」と本番をにらんだ。

ビーチキャリアも15年目となり、すっかりこのビーチスポーツの魅力にどっぷりハマっている感じ。

ビーチハンドに情熱注ぐ沖本さん

本業はシステムエンジニア。2014年のアジアビーチ選手権に出場した時に「10日間休ませてほしい」と会社に申し入れたら「NO」と言われたことで退職を決意し、「自分で仕事することで自由に休みを取れるなら」と一念発起して起業した。「ビーチハンドボールをもっと発展させたいとの思いにかられた」末の決断で、今回の中国行きも前倒しで仕事をがんばって遠征スケジュールを確保したそうだ。

大きな夢に向かってチャレンジ!

そんなビーチハンド愛あふれる沖本さんだけに、さらに前への思いは強い。

「もっとビーチハンドが世界的に盛んになってオリンピックの正式種目になってほしいですね。国内でもいろいろな所で大会をやってもらいたいです。

みんながビーチハンドが楽しいと言ってくれるのですが、インドアの日程とダブったりで参加できないという言葉を聞くのがとても残念。ヨーロッパはシーズン制なので夏はビーチ競技を楽しむアスリートが多いのに比べ、日本は大会が1年中がありますからねえ。

今大会で好成績を残せば熊本の女子世界選手権、来年のオリンピックに弾みがつくからがんばれと言われています。もちろんそのつもりで初戦から勝負をかけます。1人でも多くの方がビーチハンドに関心を向けてほしいですしね。応援よろしくお願いします」と選手たちの熱い思いを代弁した。

がんばれビーチボーラー! 
その手で歴史の扉をこじ開けろ!!