9月28、29日に千葉県市川市で開催されたJOCジュニアオリンピックカップ関東ブロック予選会(第28回関東中学生選抜ハンドボール大会)は男子・神奈川選抜、女子・埼玉選抜が優勝を飾りました。
12月埼玉での本大会に駒を進めたのは、男子が神奈川のほか千葉、埼玉、東京、女子は埼玉、千葉、東京、茨城の各選抜チームとなり、男女とも代表権を獲得した埼玉県が、それぞれ2チームを本大会に送り出すことになリました。
※大会結果の詳細は千葉市ハンドボール協会HPで↓
https://www.chibashi-handball.com/大会予定-結果/joc関東ブロック大会-速報ページ/

「オール埼玉」で笑顔の快進撃!

初日のみの観戦でしたが、私が目を奪われたのが埼玉選抜女子の進撃ぶりでした。戦前の下馬評では夏の関東中学校大会で上位を占めた若松中主体の千葉、実力派の東久留米西中と葛西三中が連合を組む東京、強豪・岩崎中セブンがリードする神奈川の優勢が伝えられ、大会前に故障者が相次いだ埼玉の評判は、主力メンバーに2年生が多いこともあって決して高いものではありませんでした。

しかし、大会が始まると様相は一変。1回戦で神奈川に19ー16と競り勝つと、準決勝では東京との接戦を19ー18と制して代表権を獲得し、決勝も地元千葉を23ー19と一蹴して優勝に輝いたのでした。

8チームからの編成で持ち味発揮

印象的だったのがその戦いぶり。チームの主体となったのは春中代表の三郷北中でも夏の県大会を制した戸塚西中でもない、実に8チームからピックアップされたメンバーが、ベテラン田中和久監督のもとで持ち味を発揮し、文字どおり「オール埼玉」として好プレーを連続させました。その中には今季から新スタートした中学生クラブ「大崎ジュニアクラブ」から渡部日向子選手(3年)、髙橋心実選手(2年)の2人が加わっていたことも特筆されます。

3試合とも1点を争うタフなゲーム展開になりながも、コート上の選手たちの表情は明るく、笑顔に満ちあふれていました。そこには「やらされ感」がなく「自分たちでプレーを楽しむ」雰囲気が見る側にしっかりと伝わってきました。
センター松原奈々葉選手(2年)、サウスポー小山歩夢選手(3年)を中心に果敢に戦い抜き、櫻井ありさ、佐山桜子選手(ともに3年)ら主力の故障リタイアをカバーしての全員ハンドボールを展開。また、息のあった熱いスタンド応援が選手たちの背中を押していたのも見逃せません。

修正能力とチームワークの良さが勝因に

そこで鮮やかな優勝を果たした田中監督に大会を総括してもらいました

ーーどんな構想で大会に臨みましたか? また、ケガ人が多かった中で優勝まで登りつめた要因を聞かせてください。
田中監督「走れる選手が多いので、守りをしっかりさせて、走り切るということに専念しました。
ケガ人が5人出ましたが、ほかの選手の特性を見て、普段とは違うポジションをやらせてみました。例えば左バックの渡部選手は普段は右バックをやっており、ポストの高橋選手はセンターなどをやっていたようです。
大会まで期間が短かったので、チームでは6対6を中心に攻守ともに合わせをしました。練習試合は千葉県選抜、長野県選抜、群馬県選抜、茨城県選抜と行いました。すべての練習試合で初戦は負けてしまいましたが、そこから修正をして、最後の試合はすべて大きく点差をつけて勝利することができました。
試合の中で修正能力の高い選手が多いのが優勝につながったのだと思います。さらに選手もスタッフもそれぞれのチームワークが良かったこと、保護者の方々がとても協力的だったことも優勝できた大きな理由だと思います。

ーー試合中の選手たちがとても楽しそうにプレーしていたように見えましたが?
田中監督「選手たちが楽しいと感じてくれているのは、指導者として大変うれしいことです。
練習試合で修正ポイントを指摘すると、それを忠実に実行すること、さらに自分たちでもコミュニケーションを取れるところが強みです。
関東予選の1日目の夜、ミーティングを2時間行いました。1時間20分がスタッフからのデータや映像をもとにして千葉県選抜戦の注意点を話しました。
その後、選手たちだけでのミーティングをさせ、私たちは近くで見守るだけにしました。
チームワークも良くなり、チームとしても個人としても成長が見られました。選手たちが楽しかったと感じたのはそんなところだと思います。

ーー優勝した選手たちにどんな言葉をかけたいですか? 
田中監督「全員で勝ち取った優勝です。おめでとう、そしてありがとうと言いたいです」

ベテラン田中監督のもとで全員ハンドボールを展開

ーー本大会に向けての強化ポイントを聞かせてください。
田中監督「このチームは大きな攻撃力があるわけではないので、キーパーを中心に守備を固め、走り抜くチームをめざしています。
また、本大会に向けては、足りなかった攻撃力をつけていきたいです」

ーー最後にクラブチームから2選手を加えた意図と、彼女たちを送り出した大崎ジュニアにひと言お願いします。
田中監督「クラブチームの選手を入れたのは、昨年の1年生大会や春中予選で(HC SAITAMAとして)戦った現在の大崎ジュニアの選手たちを見て素晴らしい素材だと感じてました。
埼玉県選抜は、中学校の部活動チームもクラブチームも1つだと思ってます。中学校のチームが住んでいる自宅の近くになくて、クラブチームでがんばっている選手は多数います。彼女たちにも活躍の場を広げてあげられればと考えてますし、その実力もある選手だったので、今の埼玉県選抜にはなくてはならない存在です。これからも期待してます。いっしょにがんばりましょう」

「2人が活躍する姿に力づけられた」

大崎ジュニアクラブの左が渡部選手と右は髙橋選手(0SAKI OSOLサイトから)

大崎ジュニアクラブの小野優監督からもコメントをいただきました。

「2選手が活躍していている姿を見て力づけられました。自分のチームとは違うポジションでの起用で戸惑いもあったでしょうが、短期間でいろいろ学んで対応していたので感心しました。普段からも指示に対して理解し、行動に移す積極的な選手ですから対応力があるんでしょうね。
12月の開催される大会に向けてさらなる技術の習得と、選抜ならではの仲間との絆を深め、仲間とともに埼玉県を沸かせてもらいたいです」

※関連記事 OSAKI OSOLオフィシャルサイト
https://www.osaki-osol.net/?cat=8&paged=2

12月22日から、さいたま市記念体育館で熱戦スタートするJOCジュニアカップで、全国の強豪相手に埼玉選抜女子と大崎ジュニアコンビがどんな戦いぶり見せるか。楽しみでなりません。