2回目を迎えた関東小学生選抜ハンドボール大会が1月20、21日に千葉県香取市で行われ、男子は小金井HCを主体とした東京が2連覇を達し、女子は三郷HCを中心に川口らから好選手が加わった埼玉が選抜チームの良さを発揮して初優勝を遂げた。ここでは優勝をかけた男女最終戦をクローズアップした。
女子最終戦はともに1位リーグで茨城を破った埼玉と群馬の対戦。それぞれの主体となる埼玉・三郷HCと群馬・群馬ジュニアは昨夏の全国小で3位を分け合った強豪であり、今シーズンの”関東”を締めくくるにふさわしい注目の一戦と言えた。
埼玉が選抜の強みで強敵倒す
試合がスタート。埼玉が長身ポスト・佐山の連打と青野のカットインからのミドルで3分までに3-0と先行すれば、群馬も小幡のロングなどで2点を返し、予想通りの白熱した展開で幕が開いた。
1点ずつ取り合ったあと、高橋のフリースローが鮮やかに決まった埼玉が5-3と2点リードして第1セット終了
第2セットに入ると両チームの動きがさらによくなり得点の応酬に。埼玉が2分7-5としたあとエース青野のワンマン速攻で追い撃ちをかけて8-5。ここから両チームの得点が止まり、どちらが点を取るかが見どころに。
そして、6分、群馬・小幡のロングを果敢なディフェンスで阻んだ埼玉が青野の速攻で9-5とリード広げ、さらに8分過ぎには高橋のロングで10-5とダブルスコアの差がついた。この2点が大きかった。
群馬のスーパーエースを封じ込む
群馬はタイムアウト後に左腕・中野のサイドで1点返すも埼玉は高橋のミドルで再び5点差とし、がっちりと主導権をキープしたまま第2セットを終えた。
最終セットは吉田の速攻で群馬が好スタートを切るが、埼玉はGK栗田の好守で群馬の追加点を阻むと、前田のポストで奪った7mスローを松原が決めて4分12-7とし、大きく優勝に近づいた。さらに埼玉は青野がダメ押しとなる14点目のゴールを積み上げ、井上の7mスローも決まって歓喜のフィニッシュへとなだれ込んだ。
昨年暮れの読売大会で三郷HCに快勝してハイレベルのチーム力を実証した群馬を相手に、この試合は長身選手を揃えた埼玉が高い壁を活かしたディフェンスで超小学生級のロングヒッター小幡らの得点力をよく封じた。
二枚看板の青野、高橋ばかりか大型ポストの佐山、前田、守ってはGK栗田も大活躍。読売大会でベストエイトに進出した三郷、川口、さいたま、八潮からの選抜メンバーが持ち味を発揮した戦いぶりに、「ディフェンスでがんばって相手の思うような得点をさせなかったのが最大の勝因。しり上がりにチームが良くなって会心のゲームができた」と満足そうな半村監督の笑顔が印象的だった。
優勝を熱くサポートした埼玉応援団
東京が無敵の強さで堂々2連覇
第1セットは互角のスタートから西谷のカットインで千葉が2-1と先行。東京も大久保のエネルギッシュな一打で追いつくが、千葉は4分3-2と勝ち越すと丹羽ポストシュートと榎本の7mスローでたたみかけ、5-2として序盤の主導権を握った。
このあと東京・大久保の連打を許したものの、篠塚のミドルや榎本から西谷に渡る鮮やかなパスプレーも決まり、7-5と2点リードを奪って第1セットを終えた。
第2セットは東京が攻勢に転じた。長身・瀧川のロングを皮切りに大久保の速攻で2分までに同点に並び、さらに瀧川のステップシュートで8-7と逆転に成功した。清水と門野らで高くラインを上げたディフェンスが機能し、GK沢山のファインセーブもチームに勢いを与えた。
さらに絶対エースでありムードメーカーの大久保がエンジン全開とばかりに気迫の連打で5分10-7とし、あっという間に3点リードを奪って一気に試合の流れを呼び込んだ。
千葉も松浦のサイドなどで懸命に食らいつき、10-12と射程距離に東京をとらえて第2セット終了、必死のがんばりが光った。
健闘の千葉(開催地)を突き放す
そして、勝負の最終セットがスタート! 先取点は3分に東京がものにした。それもカギを握るとみられた成長著しい瀧川の豪快なカットインシュートだった。
これで勢いづいた東京は、千葉に1点を返されたものの、すぐさま大久保がサイドを破ったあと、またも瀧川がステップシュートを突き刺して7分16-11と決定的なリードを奪った。
終盤、千葉はオールマンツーに出たものの東京はあわてず得点を積み上げて優勝を確実なものとした。残り10秒、後方から大久保が一気にドリブル突破で攻め上がって力強いミドルを突き刺してタイムアップ。この試合を象徴するようなエースのエネルギッシュな一打で18-11で勝利した東京が2連覇を達成した。
選抜を組んだ東京としては昨年11月の氷見ちびっこフェスティバルに続く栄冠獲得。小金井としても全国小の決勝戦で桃園小ク(京都)に2点差負けした以外は、出場したすべての大会で優勝を飾るという圧倒的な成績を残した。
選手たちの自主性が進撃招く
「プレーをしっかり読んで積極的にいくディフェンスが効果的でした。走ることとディフェンスにはスランプがないということを子どもたちが体現してくれてうれしいです」と得居監督は手放しで選手たちの健闘をたたえた。
チームの目標やルールは選手たち自らが決めたものという。
目標とする優勝のためには「①ディフェンスの約束ごとを守る②オフェンスは前を狙う③速攻は1人に任せずみんなでいってフォローをする」の3つが合言葉だった。
チームのルールとして「①単独行動はしない②練習中はふざけない③あいさつをする④時間を守る⑤人の話を聞く⑥コミュニケーションをとる」の6点をしっかり守った。
そんな自主性が最強チームのベースになっての2連覇達成は、もうお見事!としか言いようがなかった。
また、小学生選抜のあとにU-15関東クラブ選手権の決勝戦が行われ、HC千葉Jrが男女優勝を飾った。男子2チームにとどまった昨年から今回は男女各4チームの参加があり、中学生クラブのさらなる発展を期待させる大会となった。