「謎の東洋人」 ハンドボールヲタク旅 第4回


みなさま、こんにちは。第4回目の「謎の東洋人」ハンドボールヲタク旅、今回はトヨタ車体所属、日本代表の吉野樹選手インタビュー「その2」をお届けします。
前回のインタビューは日本リーグプレーオフ優勝、そしてMVP獲得にまつわる内容でした。
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コンディション調整の大切さ実感

さて、今回、まずはコンディショニングについてから語ってくれています(※文中、今シーズンとあるのは2018〜2019シーズンです)。

「今シーズン(※)の日本リーグ、各チームとの対戦を3巡してトータルで24試合。その中でコンディションを整えながら戦い続けるのが最も大変なことだと感じています。
正直、調子がいいときがあれば悪いときもあって、その理由がどうしてなのか、どうして調子の波ができるのかをずっと考えながらシーズン中のトレーニングを行っていたんです。特に今シーズンは怪我が多く、病院に通ったりトレーナーさんに診てもらったりしながら戦い抜きました。試合前日の深夜まで夜通しで懸命にケアをしてくださったこともありました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
こういった表面的には見えにくいところで多くの方々にサポートしていただいていました。今年は日本リーグ優勝とMVP獲得という結果で皆さんに恩返しができて嬉しく思っています」

かみ締めた日の丸を背負う覚悟

続いて、日本代表としての活動について聞いてみました。


「代表入りした当初は自分のプレーに自信が持てず、自分でも最悪のプレーだと感じてました。なかなか上手くいかずにどんどん自信を失くしてどん底まで落ちた感じでした。そんな気持ちのままアジア大会や世界選手権を経験してやっと代表にも少しずつ慣れてきて、今はチームの一員として戦うことができています。
しかし、世界選手権の戦いを通じて、そのモチベーションではダメだということに気づかされました。代表の先輩方からは「もっと日の丸を背負う覚悟を持て」と言われて本当にその通りだと。ただ代表のユニフォームを着て試合するのと、日の丸を背負う気持ちを持って試合するのとでは全然違う。今回の世界選手権でその差を強く感じることができたんです。僕はこの年齢、このタイミングで気づくことができて本当に良かった。ここからが僕の代表としてのスタートだと感じています。
世界選手権の後の日本リーグやプレーオフでは精神的にも落ち着いて堂々とプレーすることができるようになってきたように思います。代表で経験したメンタルの違い、それを車体でのプレーでも生かせるように意識できてきたことは大きな変化だと言えます」

「いいメンタルを保つことこそ」

吉野選手にとって重要なきっかけとなった今年の世界選手権についても聞いてみました。


「日本代表としての世界選手権は初めての経験でしたが、ダグル監督が積極的に国際試合や海外での代表合宿を組んでくれていたので、意外にも自然に世界選手権という場に入っていくことができましたね。
結果的には勝つことはできなかったわけですが、その一方で世界の強豪相手でも自分のプレーが十分通用するという手ごたえを感じることができました。それは大きな収穫でした。
ただチームとして結果を出せなかったのは本当に悔しくて、特にバーレーン戦の敗戦が精神的にチームに与えた影響は大きかった。この敗戦で気持ちを保つことが難しくなって、次の韓国戦でも影響を引きずってしまって、チーム全体のパフォーマンスは満足できるものではありませんでした。そういうところ、つまり、しっかり切り替えていいメンタルを保
つところは今後の課題です」

大きく羽ばたけ日本の星!

このインタビューの後、吉野選手は車体チームとともに東アジアクラブ選手権に参加し、第1戦でMVPに選ばれる大活躍!
日本リーグのオフシーズンも代表活動が続き、怪我の回復やコンディションの維持が非常に難しい、ということも話してくれた吉野選手。
これから文字通り日本を代表するハンドボールプレーヤーとして海外からも注目される存在になることは間違いありません。
では今回はこの辺で。