今回はハンドボールファンにおなじみ「スポーツイベント ハンドボール」誌の「アスリートのおうちごはん」を担当している栄養管理士・公認スポーツ栄養士の田中智美さんです。 U-16男子や大学、高校、中学と幅広く栄養サポートを行い、ハンドボールアスリート選手のために、普段食べている食事の大切さを伝えています。 また保護者向けにも情報共有の場として、ホームページを立ち上げています。 ぜひ参考にして、栄養サポートを受けてみてはいかがでしょうか! by WAKIWAKA

こんにちは田中智美です。
私は現在、娘2人の子育てをしながら、大学の非常勤講師として「スポーツ栄養学」などを教える傍ら、小学生から大学生、保護者を対象とした栄養セミナーや栄養サポート、株式会社スポーツイベントの「アスリートのおうちごはん」の連載を通して中高生ハンドボール選手向けに食事の大切さについての原稿を書いたりしています。
私がハンドボールと出会ったのは、早稲田大学スポーツ栄養研究所の助手として働いていた時に「アスリートのおうちごはん」の連載の依頼をいただいたことがキッカケです。ハンドボールを生で観たこともなく、どんな選手たちが活躍しているのかも知らない素人でした。「アスリートのおうちごはん」を書いていたある時、「自分が書いている内容は、本当に中学・高校生に届いているのか?中高生の部活動の実態に合うものが書けているのか?」と疑問に思うようになり、もっと選手たちのことを知るためにチームの栄養サポートを担当してみたいと考えるようになりました。
毎月ご紹介している料理に関する動画:https://youtu.be/uLKkzYo8kMw
生後8か月の娘がいたため、栄養サポートをすることはチームに迷惑がかかると諦めていました。しかし、当時の早稲田大学女子ハンドボール部の脇若監督が「子連れでの栄養サポートでもいいよ!」と言っていただいたことで、チームを担当させてもらうチャンスがやってきました。
ルールも分からない私でしたが、選手たちは快く受け入れてくれてくれました。練習を何度も見学しているうちに、彼女らのハンドボールに取り組む姿を見ていたら、すっかり選手たちのファンになっていました。
選手たちに携わっている期間は、常に「選手たちに何ができるのか?」を自問自答していました。栄養セミナーをしてみたり、身体組成を測定してみたり、夏休み期間の2部練で補食を作ってみたり、選手たちと相談しながらチャレンジさせてもらいました。子連れの私でも「ここまでできるんだ!」と自信をもらいました。
次に、私は越谷南高校ハンドボール部の栄養サポートをしました。高校のハンドボール部で、スポーツ栄養士が栄養サポートする環境が整っている学校はとても珍しいと思います。初めてチーム練習を見学した時、選手たちは「栄養士が来ているけど、自分たちに何をしてくれるの?もっと食べろと言うんでしょ?」などの戸惑いがあったと思います。
チームの一員として受け入れてもらわなければ、何もスタートできないため、受け入れてもらうために、娘と一緒に練習を見学したり、時には娘を連れて学園祭に行ったりして、食事や栄養以外のところで選手たちとの距離を縮めていきました。
ハンドボールでは、相手に当たり負けしない強いフィジカルを作ることが求められます。そして、強いフィジカルを得ることは、ケガの予防につながります。越谷南高校の選手たちも、県内の強豪校に勝つためには体重を増やして強いフィジカルを作ることが最重要課題でした。
強いフィジカルを作るために、朝食をしっかり食べることを意識してもらい、また保護者の方々にご協力をいただきました。選手たちからLINEに送られてくる朝食は、「主食+主菜+副菜+牛乳・乳製品+果物」が揃っていて、「保護者の頑張り」が随所に感じられるものでした。そして、1か月が過ぎ、2か月が過ぎ・・・。すると、選手の体もグングンと大きくなり、試合中に対戦合相手に競り負けることが減り、ボールをもらいたいポジションをキープできるようになったと実感する選手が増えました。
長女が1歳になる頃、U-16男子日本代表の沖縄合宿に帯同するお話をいただき、長女を主人に預けて参加しました。選手の栄養管理が主な業務でしたが、10月の沖縄県はまだまだ暑く、熱中症や脱水を予防することが重要でした。また、ハイレベルの戦いになるほど、適切な水分補給がパフォーマンスに直結し、勝負所で脚をつって(筋けいれんを起こして)戦線離脱することはチームにとっても大きな痛手になってしまいます。そのため、沖縄合宿に帯同していた渡邉トレーナーと協力しながら、選手一人一人の飲水量を確認し、練習前後での体重測定をするなどの熱中症予防対策に従事しました。
最後に、昨年6月6日に逝去された南木さんには、ハンドボールファミリーの仲間に入れていただき、気にかけて頂きました。
越谷南高校での栄養サポートの実績を知ってくださった南木さんから「銘苅選手の『ハンドボールクリニック2018 in三郷』で中学生向けに栄養セミナーをやりませんか?」とお声かけいただきました。銘苅選手とのお仕事は緊張しましたが、関係者の皆さんのサポートのおかけで楽しくやらせていただきました。2019年には、三郷市ハンドボール連盟と株式会社スポーツイベントのご協力のもと、食に関する小冊子作りにもチャレンジさせてもらいました。
そして、南木さんのお孫さんが高校球児というご縁もあり、お孫さんの栄養サポートをさせてもらいました。65キロまで体重を増やさないとレギュラーから外されるため、彼は一生懸命「食トレ」に取り組んでくれました。もちろん、すぐには体重が増えるわけありませんし、もともと食が細い彼はなおさらでした・・・。諦めずに「食トレ」を続けたことで、彼の身体は想定よりも大きくなり、レギュラーに定着して、大活躍してくれています。グラウンドで活躍している彼の姿を、南木さんと一緒に会場で応援したかったです・・・。
そして、南木さんが立ち上げたこのハンドボールステーションが再スタートされたことはとても素晴らしいと感じると共に、多くのハンドボールファンと同様に嬉しく思っています。
今後、私もハンドボールファミリーの一員として、携わる全ての方々にハンドボール選手のための食事の大事さを伝えながら、コンディショニングの維持やパフォーマンスの向上に微力ながら携わっていきたいと考えております。
公認スポーツ栄養士 田中智美
メールアドレス:hand_food@yahoo.co.jp
ホームページ:https://peraichi.com/landing_pages/view/handballfood202104