群馬のスーパー少女に熱視線!

群馬県に超スピードで駆け上がっているスーパー少女がいる。
甘楽中学校1年生で、今年8月に13才になったばかりの小幡みなみ(以下みなみ)選手だ。

小学生クラブの群馬ジュニアに在籍した昨シーズンはチームの絶対エースとして活躍し、関東と全国の小学生大会で3位、群馬選抜で臨んだ関東小学生選抜大会は準優勝の成績を収めた。
「全国は富山の十三ジュニアに負けました(13-23)。優勝できると思っていたので初めて試合で泣きました。埼玉に負けた関東選抜も点差が開いてしまい(8-15)、とても悔しかったです」と振り返ったみなみ選手。

それでも全国大会の事実上の3位決定戦となった読売杯大会決勝で三郷HCを14ー11と退けて優勝するなど嬉しい思い出もたくさんあった。
170㎝を超えるスケール(現在は172㎝)と豊かな走力は、まさに超小学生級! 大会に登場するたびに注目度を増していった(写真は群馬ジュニア時代)。

読売杯小学生大会で初優勝(後列中央がみなみ選手)

群馬ジュニアのチームメイトや後輩たちと一緒に

NTAメンバーに大抜擢

そして、今年初めには小学生としてただ1人、NTA(ナショナルトレーニングアカデミー)のメンバーに抜擢された。

NTAとは「日本ハンドボールのオリンピック出場、メダル獲得に向けた中期・長期継続強化計画のためのエリート教育」を目的に2008年より実施され、この2018年から改変された日本ハンドボール協会肝入りの育成事業だ。
(※→NTAの詳細

NTAメンバーは体力、走力、両足を着けての投力、身のこなしのバロメーターとなるイリノイテストの4種プログラムに、年令や形態的な要素、さらに左腕だったり飛び抜けた機動力やジャンプ力などを加味して選考された、まさに未来の宝物たちだ。

彼女を育てた群馬ジュニア監督の齋藤英邦さんから「失敗をおそれずにやってこい!」と背中を押されて参加したNTA合宿は、とくにディフェンス面では足の運び方、オフェンス面はパスフェイントを注意されたという。
「シュートはたまに決まることあったけど、やはりディフェンスの厳しさが(小学生とは)違ったし、ボールスピードを上げるために腕の振りをもっと速くしなければと思いました」と課題を口にした。

そして今夏にはこの事業の目玉となるデンマーク遠征に参加した。トレセン(ナショナルトレーニングセンター)スタッフによれば「何年越しでやっと実現したプラン」だ。

デンマーク遠征で果敢にプレー

この遠征では"人生の学校"と称されるデンマーク特有のフォルケホイスコーレで生活し、ハンドボールの試合やトレーニングだけでなく、さまざな文化的交流をする機会に恵まれた。
ものごとの考え方やコミュニケーション、文化的なものを学び、自分の将来を見据えての目的作りなど、若い世代のうちに広い視野を持たせたいというスタッフの狙いどおり、国内ではなしえない貴重な経験を積んだ選手たちだった。

8月26日から9月3日までの遠征(男子は9月3~11日)では、すべてに自主的な行動を求められたことから、成田空港での荷物の預け入れに始まり、出国手続きや両替など、できるだけスタッフの手を借りずに出発口へと向かった。

みなみ選手は遠征準備も両親に頼らず、わからないことは自分で問い合わせるなどしたそうだ。
「すべてが勉強ですから」という親心だったが、それでも「やぱり心配なので来ちゃいました」と苦笑いした父・徹さんと母・ひとみさんは、選手団から離れた出発ロビーの陰でそっと愛娘の旅立ちを見守っていた。

日本の至宝へ上昇一途

現地では「やらないことが最大のミスだ」の遠征スローガンどおり、ものおじすることなく果敢に汗を流した。
団長を務めたNTA委員長の尾石智洋さんによれば「高校2年生までいるメンバーで中学1年生は彼女だけでしたが、消極的にならずにシュートを狙いにいき、サイドから思い切って打ち込んで得点も決めました。
   これから俊敏性が出てくるといいプレーヤーになりますね。シュートを果敢に狙いにいくのが大きな魅力。彼女を含めて慣れない環境の中、みんなよくがんばってくれました」と上々の成果を得たようだ。

トレセン専任コーチングディレクターの河上千秋さんも「長身かつ細長い手足から繰り出されるしなやかな動きは、今後の成長がとても楽しみな逸材です。凝り固まった国内仕様の動きや感覚ではなく、早い段階で世界基準の基礎や感覚を学ぶことによって大きく覚醒するでしょう。
なによりも素直で純粋です。ハンドボールに対して真摯に取り組む姿勢がとてもよく、必ず日本の至宝になってくれると信じています」と最大級の評価を口にした。

NTAメンバーに抜擢されてデンマーク遠征へ

 

そして、遠征から1ヵ月後のJOCジュニアオリンピックカップ関東予選会(9月29、30日・茨城県)では群馬選抜の一員として出場。
3年生主体のチーム構成で多くの出場時間は得られなかったが、それでも東京との代表決定戦では後半なかばから出場して下記動画のように4得点を叩き出し、劣勢に立たされたチームの反撃ムードに火をつけた(試合は17-22で敗退)。

さらなるスケールアップを!

次なる目標は来年3月の春中出場で、現在は甘楽中の部活が中心になるが、齋藤さんが群馬ジュニアと並行し組織化した中学生クラブ「Lux(ラテン語で光の意味)HC」の練習に週2回参加するほか、部活のない土日にはジュニアの小学生たちと一緒に汗を流すハンドボールライフを送っている。

どんな試合も上級生相手で「ブロックされることも多いんですが」と言いながら「ひっぱりの上にシュートが決まった時は、やった~ッて気になりますね。流しの上に打つと見せて逆をつくシュートです」と目を輝かせた。
2号ボールには慣れてきたものの「筋力不足を実感している」ことから、家に帰って肩胛骨や股関節の可動範囲を広げたり、体幹強化など15分ほどのトレーニングを日課にしている努力家の一面も。

日常は「宿題が多い」ことから午後11時ぐらいに就寝。好きな学科は英語で「将来に必要になるから」と塾通いしているところが頼もしい。苦手な国語もガンバレ!
食べ物では果物が大好き。群馬ジュニアでは「必ずご飯は2杯以上お代わりし、出されたものは全員完食するまで」というルールもあって、好き嫌いはなく食欲旺盛。野球をやっていた父の徹さんは185㎝、ソフトボールのひとみさんも170㎝近い長身で、さらなるスケールアップが望めそうだ

「ヨーロッパでプレーしたい!」

目標とする選手は「まだよく知りませんが(姉妹の)横嶋かおるさんと彩さん、群馬出身の髙宮咲さんやデンマークでプレーしている角南唯さんもフェイントがすごくて憧れています」と笑顔を浮かべ、「大きい選手はポストが多いですけど、私は打ったり、走れる選手になれたらと思います。そのためにはフェイントがイマイチなのでもっと練習しなければ」と前を向いた。

そんな愛弟子の言葉を満足そうに聞いていた齋藤さんは「表現の仕方だったり、内面的に成長してほしい部分もありますが、シンはとても強い子です。ガツガツやって自分のプレーに自信がつけば、もっとよくなるはず。
パスのセンスや球ばなれの良さも非凡なものがあります。今後はフェイントでずらして突破したり、押し込んでいったりするプレーを身につけてほしいですね」と注文をつけた。

そして、みなみ選手にインタビューの締めくくりとして「将来の夢」を聞いてみた。
ちょっと時間をかけて考えたあと、しっかり視線を合わせての言葉がうれしかった。
「(プロ選手として)ヨーロッパでやってみたいし、オリンピックも出たいです」--ますますスーパー少女の未来を応援したくなった! ガンバレみなみ!!

JOC関東予選では1年生ながら大活躍