日本ハンドボールの歴史が間もなく動く。アンダーカテゴリー初のアジア制覇へあと1勝! 前回王者バーレーンは強敵に間違いないが、試合ごとに結束力、逞しさ、勢い、正確さを増しているU-19日本代表に恐れるものはない。たとえピンチに陥っても植松監督のもと自分たちの力を信じて前進あるのみだ。決勝は26日24時(日本時間)にスローオフ! 決戦を前に準決勝のサウジアラビア戦レビューをお届けした。写真は日本協会Facebookページより。
決勝進出をかけたサウジアラビア(グループ1の1位)との準決勝は開始30秒、センター安平のパスを受けた梶山が右サイドから飛び込んで先制点をゲット。
しかし、このあとシュートがなかなか決まらす、パスのつながりも正確さを欠いて2点目をあげるまで時間がかかった。
この間にサウジに7mスローなどで2点を連取されて重苦しいムードが漂いかけたが、ようやく10分近く経過して可児のサイドシュートが決まると、 すぐに朝野の速攻で逆転、さらに速攻展開から安平のアシストを受けた朝野がポストから再び加点して14分4ー2と優位に立った。
このあと窪田の速攻が相手GKに阻まれるも、そのリバウンドに素早く反応した安平が得点につなげて5ー2。たまらずサウジはタイムアウトを要求した。
前半10分過ぎからスパート
試合再開となりサウジが挽回を狙ったサイドシュートをGK矢村が弾き出すと、このあとの攻撃で素早くサウジ陣内にボールを運び、安平から大きく振られたパスを受けた窪田がドカンと打ち込んで6ー2。氷見高コンビの鮮やかなパフォーマンスでムードが盛り上がった。
サウジに1点返されて16分6ー3となったあとも蔦谷が速攻で加点して4点差をキープ。このまま一気に突っ走ってサウジに大きなダメージを与えたいところだった。
サウジ寄りの判定に耐え抜いて
しかし、そう簡単にことが運ばないのがアジアのタイトルマッチ。イランペアの笛が次第にサウジ寄りに傾いていた不安が現実になった。
サウジの強引なポストからの押し込みに7mスローを取られてしまう。
これは矢村のファインセーブに助けられたが、20分過ぎにサイドから1点返されたたあと、またもや「?」と首を傾げたくなるプレーで7mスローから失点。
さらに、これで動揺したのかパスの乱れがサウジの逆速攻を招き、あっと言う間に1点差まで詰め寄られた。23分7ー6。
ここで植松監督がタイムアウトを請求。これで冷静さを取り戻した日本セブンが梶山のサイドシュートをきっかけに速攻などで2点を連取して10ー6と再び4点差に戻した。
必死に食い下がるサウジに1点返され、吉田のポストシュートが阻まれた直後の27分に窪田が退場。
このピンチもGKを下げた6人攻撃で安平からポスト吉田にパスが通り、汚名返上とばかりに吉田が身を呈してゴール!
そして、サウジのノーマーク速攻を矢村が気迫のセーブで弾き出し、11ー7と4点リードをキープして前半を折り返した。
固い結束でピンチを脱出
後半がスタート。 センターは安平を石田にチェンジして臨んだ。
サウジがポストで加点するも、すぐに蔦谷がカットインで応戦。そして、矢村がノーマーク速攻をファインセーブし、返しの攻撃で加点して3分13ー8。
このあと1点ずつ取り合った8分過ぎに試合が動く。
藤川がミドルで加点すると朝野のポストで追い討ち、さらに石田の速攻が決まり、10分17ー10と7点差まで水をあけた。
それでも油断はできない。サウジにサイドを破られたあとの12分、またも7mスローを献上して5点差に詰められた。
しかし、試合ごとにたくましさを増している日本はここでも踏ん張る。
蔦谷の2得点や石田のステップシュートなどで優位をキープ。またも不可解な7mスローの判定に植松監督が天を仰ぐ場面はあったが、梶山、藤川らで着実に加点し、矢村に代わったGK石濱も7mスローをシャットアウトしてガッツポーズを突き上げるなど、攻守にファインプレーが続き、サウジの反撃を突き放した。
鮮やか連続スカイでフィニッシュ
残り2分を切って23ー17とした日本の勝利は間違いなかった。
あとは残り時間を刻むだけだったが、ここから大技2連発が出る!
テンポよくパスを振ってからコートに戻っていた安平から蔦谷に渡るスカイプレーを決めたあと、今度は蔦谷から安平へと空中の妙技を連発させてフィニッシュ! そしてタイムアップのブザーが鳴り響いた。
メインラウンド中にはセーブ率の悪かったGK陣、そして思うような連係プレーを展開できすにストレスを溜めていたセンター陣に不安をのぞかせていた植松監督だったが、この日の矢村や安平、石田らの躍動が確かな手応えになったはず。
あと1勝でアンダーカテゴリー史上初のアジア制覇が達成される。前回王者のバーレーンには前半の6点リードを逆転される悔しさを味わったが、躍動感あふれるプレーに正確さを増してきたU-19セブンには少々のピンチに動揺する気配はない。
バーレーンとの決勝戦は26日24時(日本時間)スローオフ。日本ハンドボールが動く瞬間を心待ちしたい。