その時折の“ちょっといい話”を集めていく「ハンドボール愛!通信」ブログは、この2017サマーで印象に残った人物やできごとを、まずは数回に渡ってご紹介することにします。
そのトップバッターは埼玉県・川口HCコーチの市橋久さんです。完成した応援ハリセン この夏、ハンドボール界最大の注目を集めたのは、言うまでもなく7月29日の駒沢体育館で行われた日韓代表定期戦。有志のファン、サポーターが一緒になって日韓戦を盛り上げようと1カ月ほど前から「#日韓戦応援サポ」と名付けた応援プロジェクトをスタートしました。
その目玉の1つが応援ハリセンでした。ハンドボールの本場ドイツなどでポピュラーなこのハリセンは、大会経費が膨らんだこともあって、いったんは中止になりましたが、ハンドボール初の試みを簡単に諦めるのはなんとも惜しい!
当初からハリセン導入を計画した日本協会事業プロデューサーの水野裕矢さんや、それを応援しようと動画資料などを提供した森松誠二さんらの熱い想いを知っていたし、ブンデスリーガの人気チーム、ラインネッカーのサポーターがハリセンを叩いて興奮するスタジアムみたいに、なんとか駒沢をあんな雰囲気にしたいなと思っていました。
そこで相談したのが市橋さん。ハリセンは紙だから、段ボール加工の会社で仕事している彼ならいいアイデアを出してくれるはず。無理かどうか、ダメもとで聞いてみようとメッセージを送りました。
それが7月14日の早朝5時近く。そうして8時ぐらいにスマホをチェックしてみると、なんと下記のように市橋さんがハリセンを叩く動画や写真が送られていました。

驚嘆スピードで完成へ!

すでに職場に出ていた市橋さんが段ボールで試作品を作ったばかりか、「ハリセン」でググっていくつかの会社を見つけ出し、おおよその制作費や完成までの日数などの判断材料を洗い出してくれたのです。
メッセージを送信してからわずか2時間ちょっとの離れ業! まさしく驚きの世界でした。
そして、その費用を見てこれならイケルと確信。さっそく有志たちの賛同を得て応援ハリセンの制作がGOとなったのです。
それから大会まで残り2週間。できるだけ費用を安くするために印刷所にデータ入稿するまで4日ほどの短期決戦となりましたが、そこでまたまた頼りになったのが市橋さんでした。
日韓戦カウントダウンポスターで素晴らしい作品を次々と提供いただいていたので、彼のデザインセンスは問題なし。
「デザインから発注まで制作のすべてをお願いできないか」と依頼したところ、「こんな歴史的なグッズを任せていただくなんで光栄です。費用全部を出していいぐらいの気持ちですから」と嬉しい言葉を返してくれました。

ハンドボールの未来を後押し
それで決定したデザインが上記のそれ! 日の丸を全面に配置した市橋さんの基本案に、水野さんからの要望でハンドボールサポーターを象徴する「8」と、彼が大好きな言葉「NEXT ONE」、そして「JAPAN」をシンプルにまとま、カラーはもちろん「JAPANカラー」のネイビーブルーになりました。
ハリセン応援のことを日本代表の玉川裕康選手に伝えると「それは楽しみ! どんどん大きな音を出して僕たちを応援してほしいです」と言ってもらいました。
そして大会2日前に駒沢体育館に届いたハリセンを大会本部に寄贈したことで準備完了! 試合中にスタンドのみなさんがハリセンの日の丸を掲げたシーンを目にしたとき、思わず胸がジーンときました。
大会に用意したのは3000枚。当初は路上に捨てられたりしたら大問題になるところでしたが、事前のアナウンスと大会本部の方たちのご配慮で収納ボックスが設けられ、そんな心配は杞憂に終わりました。なにより嬉しかったのは、多くの人がハリセンを折りたたんで持ち帰っていただいたこと。
初めてのことで紙の厚さがやや薄く、男女2試合を叩き続けるには少々頼りなかったり、応援コールで要求される短い拍子の連続打ちには適さないなど反省点もありましたが、それはやってみて初めてわかること。次なるチャンスがあれば、応援リーダーや場内MCとの連携で、もっと改善できると意を強くしました。

市橋さんの男気に大感謝!
それもこれも男気あふれる市橋さんが瞬時に対応していただいたことで実現したことでした。
これからハリセン応援が日本で根付くかどうかは未知数。でも、市橋さんは「注文した会社はあの厚さしか注文できなかったので、まだ他の会社を探すのも手ですね」と言いながら、こんなアイデアを口にしてくれました。
最初の動画にあった段ボールの試作品のをそのまま応援ハリセンにすることです。
「今回の日韓戦のような色合いを出すには不適当ですが、シンプルな地の色にカッティングシートなどで文字を入れたりすることは可能。さらに大きな音と耐久性も期待できます」と市橋さん。

そんな市橋さんから、数日後の全国小学生大会に出場する三郷HC(ミサハン)の応援用にと20枚ほどの白地のハリセンもプレゼントしてもらい、チーム用には「ミサハン」の文字と、なんと私専用に「南木」版もありました!笑笑

ハリセン応援を日本のハンドボール文化に
「無地の面は自分たちで絵や文字を書いたりしてオリジナルのハリセンにすればいいんじゃないでしょうか。チームなどからの需要があればお作りしますよ」と市橋さん。
段ボールは厚紙よりも若干安く、さらにこれまで主流だったスティックバルーンよりも安価になるとか。
厚紙でも段ボールでもいいので、市橋さんの愛が詰まった応援ハリセンが、これからハンドボール応援の流行りになってほしいと思いました。
また、先週日曜の八潮クラブカップ小学生大会では日本代表のメカリー(銘苅淳選手)とシンノスケ(徳田新之介選手)に大会スペシャルゲストとしてオファーを出し、写真のポロシャツをプレゼントしたのも市橋さん。すべてお手製というオリジナルシャツの襟には「日本の宝」の文字がありました。
日韓戦の時には特別シートに座った我々に記念のマグカップを作っていただいたり、チームの子どもたちに焼き肉をご馳走したりと、かなりハンドボールに投資している感じの市橋さんですが、「ハンドボールでの楽しいお金なら惜しくありません!」と笑顔を返してくれました。
そのほか、何かと嬉しいプレゼントをしてくれる市橋さん。いつも本当にありがとうございます! またよろしくお願いしますね! (^_^)v