おりひめ快挙も世界ランクは？

　10年近く前に国際ハンドボール連盟（IHF）が世界ランキングを制定した時から違和感があるとされていました。

世界ランキングの基準となるポイントはオリンピックや世界選手権、各大陸の選手権などの成績を換算していくのですが、それは遠い昔からの大会記録を積み上げているため、いま一番知りたい直近の実力通りのランキングとはかけ離れたものになります。

男女ともランク１位はドイツですが、それは東西ドイツ時代からの両国のポイントを合算しているため、大きくランクが上がりますが、例えば今回のモンテネグロなどは、旧ユーゴから分裂した国家であることから、ポイントを換算する年数があまりに少なく、そのためランクは下になってしまいます。

それに比べ、日本は２年ごとの世界選手権に皆勤し、アジアでも韓国に次ぐ存在として定着しており、そんなことがジリジリとランクを上げる結果になっています。

ハンドボールの場合、今の換算システムが続くとなると、現在の実力を正当評価した世界ランキングになるには、あと何十年も先になり、またヨーロッパと各大陸で実力の格差が大きいのも事実です。

そんなことからサッカーやテニス、卓球などとは違う背景があり、文頭に世界ランキングを配した報道には、どうしても「？」を投げかけたくなります。

そんな共同電に文句を言うのではありませんが、おりひめたちは、もっとすごいことをやってのけたのだと、そんなことを声高々に誇りたかったのです。世界トップクラスの強豪を倒したのだと！

　一方、そんなことで一喜一憂する私などとは違う代表コーチの櫛田亮介さんの言葉が印象的でした。

https://www.facebook.com/ryosuke.kushida/posts/1622289357807649

「もちろん　、モンテネグロに勝利を掴みとれたことは嬉しいことだが、今大会の目標はあくまでの予選ラウンドを突破して決勝トーナメントで一つでも上の順位にコマを進めること。

目標はブラジルに引き分けることでも、モンテネグロに勝利することでもない。まだ何かを達成したわけではない。

あくまでも予選ラウンド5試合での勝点が全て。残り２試合で取れるだけの勝点を掴みとろう。

目先の勝敗に一喜一憂することなく、目の前の一戦に最善の準備をして、全力で戦うのみ」

キルケリー監督も同じ思いのはず。おりひめの指揮官たちは、モンテネグロ戦の勝利に酔いしれることなく、すぐにもロシア戦への準備を始めていたのです。