"死のリーグ"を3位通過して史上初のベスト8入りを狙ったおりひめJAPAN。前回2位のオランダ相手に延長にもつれ込む激闘を演じたが、惜しくも2点差で涙をのんだ。しかし、ここまで何度も感動、感激を与えてくれて感謝の言葉しか思い浮かばない。まだまだ日本は強く、たくましくなれる。BRAVE HEART! ありがとう! おりひめJAPAN!

激闘70分のレビューをお届けした。

ベスト8進出かけオランダと火花!

 史上初のベスト8進出をかけた決勝トーナメントのオランダ戦がスタート。

いきなりオランダに2点を先行され、池原のサイドで1点返すも、オランダの力強く、速い攻めに再び2点を奪われ1ー4。3分47秒に早々とタイムアウトを請求した。

再開後、日本は永田(し)のカットイン、さらに相手ミスを速攻に繋げ、池原で加点して1点差に! やれるゾ日本!
その後、角南(唯)のミドルがシュートブロックにあうなどして得点が止まり、8分過ぎにオランダの強打を許して3ー5。
角南(果)退場のピンチが続くが、オランダのロングスローが2本外れるなどラッキーも重なり、永田(し)のポスト、原の7mで13分5ー6と食らいつく。

 あとは横嶋らのバック陣が相手DFを割りたい。頼むぞ佐々木!
 17分5ー7と2点を追う展開から松村のサイドで1点差に迫り、18分にオランダに退場。

チャンスだ日本!

すかさず松村のサイドで同点とした。

前回2位を相手に互角の勝負

 このあと松村のサイドが2本連続して阻まれるものの亀谷のセーブでしのぐ。
得点が止まっているオランダが22分35秒にタイムアウト。

再開後に右サイドを破られるが、またも亀谷が2本のシュートをシャットアウト!
ポストへのパスが繋がらずに速攻で失点。25過ぎに7ー9となり、日本は早くも2回目のタイムアウトを取る。

ここが前半の勝負どころだ。

そして、角南(果)のポストで7m。しかもオランダに退場が出た。これを大山でゲットすると、角南(唯)が回り込んでのミドルで初ゴール。同点だ!

さらに亀谷がミドルを阻み、7人攻撃で無人のゴールへロングスローを突き差し、ついに10ー9と逆転した。すごい、すご過ぎる! ロシア戦に続いて亀谷の活躍が際立った。

このあとオランダに1点返され、10ー10のイーブンで前半を終えた。

GK亀谷が好セーブ連発!

 後半が始まり池原の気迫の一打で幸先よいスタートを切った日本が角南(唯)らで加点して3分まで13ー12と先行した。

このあとオランダのポストなどで2点を奪われて37分に逆転を許すが、松村のサイドで39分に同点とし、さらに亀谷のファインセーブで勇気づけられた池原が相手GKの顔横を打ち抜き、15ー14と再逆転した。

41分に角南(果)が退場するピンチもGK亀谷の好セーブでしのぐ。

43分にオランダに15ー15と並ばれた以降は両者の得点が止まり、しばらく膠着状態が続いた。

勝ち越したい日本だが角南(唯)へのダブルスカイがラインクロスになり、松村のサイドや佐々木のカットインも相手GKに阻まれて1点が遠かった。

それでも亀谷の鬼気迫るまでの好セーブが相次ぎ、15ー15と同点のまま時間が流れた。

この均衡を破るのはどっちだ!

粘りに粘って延長に突入

 49分に試合が動いた。オランダの速攻を許した日本は、さらに7人攻撃のパスミスからロングスローで失点して2点を追う展開となった。
ここで日本はタイムアウト。すでに前半で2回取っていたからこれが最後の請求だ。

再開後、松村が角度のないサイドを決めて1点を返したが、52分過ぎからオランダに2点を連取され、16ー19と3点差をつけられた。

高い壁を形成するオランダの厚く、激しいディフェンスにバック陣のパスが乱れて失点が重なったのが誤算だった。

苦しい展開を強いられた日本は、ここから離されまいと投入されたばかりの多田が力強く切り込んで1点を返し、望みをつなぐ。

54分にオランダがタイムアウト。時間はまだあるぞ!

そして、右サイドから池原が果敢にゴール! 17ー18。

このあとオランダのループシュートがクロスバー上方に外れる。これは明らかに亀谷のプレッシャーが相手シューターをひるませた結果だった。

残り4分を切る。右バックから多田がカットインでゴール! 18ー18。ついに同点に並んだ。

このあと相手の突進を身を呈して守った池原が退場となり、オランダにサイドを破られたが、57分45秒に横嶋のカットインが鮮やかに決まった。19ー19!

そして、亀谷がオランダのサイドシュートをまたもファインセーブ!

息詰まる攻防は残り1分30秒を切り、多田のカットインシュートが相手GKに阻まれた。惜しい!

オランダが 59分24秒にタイムアウト。再開後に日本は必死のディフェンス。キルケリー監督にイエローカードが出されるなど興奮もヒートアップした。

そのまま20ー20のタイスコアで勝負は延長に持ち込まれた。

感激、感動をありがとう!

 日本のスローオフで延長が始まる。

オランダに先行を許すが、7人攻撃から多田のカットインで7mを奪い、これをキャプテン原が決めて21ー21。

63分過ぎからオランダが2点を連取。パスミスが出た日本は苦境に追い込まれたが、オランダに退場者が出て延長前半が終了。

まだまだ望みはある。最後の5分で勝負かけろ!

 

21ー23と2点を追って運命の5分がスタートした。
 オランダの攻撃をしのいだあと、池原がサイドから切り込んでゴール!

このあとオランダが大きくパスを振ってサイドから加点したが日本は少しも臆することなく新鋭・佐々木 カットインで23ー24と再び1点差に迫った。
いけるぞ! おりひめ!

しかし、残り2分を切ってからオランダに手痛い追加点を許した。

懸命に挽回を図る日本だったが池原への攻撃がつながらず、残り30秒にオランダに駄目押しのロングを打ち込まれて23ー26。

返しの攻撃で勝連が24点目のゴールを決めたものの、時すでに遅かった。

タイムアップ直後にテレビカメラで大写しされた亀谷が悔しそうに何度も顔を振り、伝い落ちる涙を拭った。
 オランダ選手と健闘を称えあってタッチする原、松村、池原らの涙にも心打たれた。
 オランダの2点差勝利で終わったが、この試合のMVPは亀谷に与えられた。それだけの価値がある、素晴らしい働きだった。

 

結果はベスト8の壁を破れずに日本女子の歴史を変えることができなかった。

それでも歓喜の輪を作ったオランダは前回準優勝で、リオ五輪4位の強豪国だ。

昨年のリオ五輪金メダルのロシアを1点差まで追い詰め、ロンドン五輪準優勝のモンテネグロに1点差勝ち、4年前の世界女王のブラジルとも引き分けた。

今大会、ドイツのおりひめたちから感激、感動を何回もらったか! いまは感謝の言葉しか思い浮かばない。ありがとう! 本当にありがとう!

このあと2019年熊本世界選手権、2020年東京オリンピックへの道がつながっている。

まだまだ日本は強く、たくましくなれるはず。

BRAVE HEART!! おりひめ神話はまだまだ続くーー。