熊本世界女子選手権が来年、東京オリンピックが2年後に迫った今、ビジネス路線をベースにしたダイナミックな日本協会の改革が進んでいるかと思いきや、現実は昨年からの内紛が尾を引き、執行部内の対立が際立っている。1日も早く、誰もが固く手をとり「TOGETHER!」と声高く叫びたい。ハンドボールは誰のものでもなく、みんなのものだ--!

今なお続く日本協会の内紛

 昨年6月24日の前会長による専務理事兼副会長と事務局長への解任動議の発令以降、日本協会の内紛が長く続き、多くのハンドボール愛好者、ファン、サポーターらが失望した。

そして、ようやく10月22日の全国評議員会に続き、同28日に新年度初の理事会が開催されて4ヵ月もの空白にピリオドを打ち、29年度の新体制がスタートした。本当に「長かった!」のひと言だった。

2019年熊本世界女子選手権、2020年東京オリンピックに向け、内紛による新体制の立ち後れを早急に取り戻しほしいと切に願った。湧永寛仁新会長による就任最初の言葉は「まずは日本協会の信頼回復を」だった。

“おりひめJAPAN”がドイツでの世界女子選手権で強豪国を相手に大活躍し、1月13日バーレーンとのナショナルマッチを終えた男子も18日からの韓国でのアジア選手権に臨み、来年の世界選手権切符獲得に向けて奮戦中だ。

そんなことから新体制が急ピッチで改革の歩を進めていると思いきや、2ヵ月あまり経過した今、協会執行部周辺の動きはまったくの期待はずれ。昨年6月からの内紛がいまだ尾を引き、球界あげての一丸ムードからほど遠い状況が続いている。

ほど遠い協会の一丸ムード

混乱をひと言でいえば、湧永会長と副会長以下の常務理事らが対立しており、中でも空席の事務局長をめぐる措置で大きな軋轢を生じていること。

湧永会長は1月18日に自らのSNSで日本協会事務局長の募集をアナウンスした。そこには「2019年に熊本で行われる女子世界選手権、2020東京オリンピック、さらには、その後の世界選手権やオリンピックに向けて、事務局運営を統括し、熱意と行動力を持って、積極的に職務に取り組める方の応募をお待ちしております!」とのメッセージもあった。

・採用情報は⇒ http://www.handball.or.jp/jha/recruit.html

協会運営にかける熱意のほどが強く感じられるが、一方で公募から今後の人選を進めていく過程で「すべての人事権は会長に帰属する」との湧永氏の主張が執行部メンバーの総意と対立を招く結果になっている。

当初は吉田實副会長を中心に人選委員会を作る指示が湧永会長から出され、その素案に基づく規定に沿って事務局長の人選が進められる予定だった。しかし、それが「専門家のアドバイスを得た」とする湧永会長によれば、「会長から事務局長など選任に関する実権を奪う規定であり、事務局長人事は会長自らが行うことが必要」とし、人選委員のメンバー変更を含め、募集する職員規定の定年も「65才未満」から「70才まで」に広げられ、最終決定は“会長権限”に委ねられるとの判断を示した。

それに対し、執行部内では

「すべてが会長権限でなされることに違和感を持っており、会長が暴走することなく、お互いを信用してやるべき」

「事務局長が日々接するのは、なによりも田口専務理事はじめ事務職員の方々で、皆さんのやりやすい環境作りとなる人材を人選してほしい」

「ハンドボール協会がオリンピックに向けて開かれた、前を向いて進んでいける人材を人選してほしい」

「まだ2ヵ月ほどのこの組織において、会長-副会長の関係は上司-部下ではなく、チームとして常務理事会を機能させることが第一。まずは会長-副会長が『一緒にやっていきましょう』という姿勢を示していただくことが大切では」などと、湧永会長の意向と異なる意見が多数を占めた。

「会長権限で人選を進めたり、採用の定年枠を広げる理由は、会長の意図する候補、それも守旧派の代表格だった人物を事務局長に迎え入れたいから」などと話す事情通もいる。

事務局長の公募をめぐって対立

もちろん湧永会長のほとばしるような情熱のもと、国際感覚あふれる有能な人材が田口隆専務理事らと有効なコミニュケーションを築いてことにあたってほしいが、専門家による規定解釈を盾に、頑ななまでの姿勢を崩さない会長とのギャップが埋まらない現状では、今後に向けてのダイナミックな発展は期待薄と言わざるを得ない。

そのほかの事案でも弁護士を介しての論争が絶えず、法廷闘争もありうるのではとの声も伝わってくる。

これでいいのか! 断言できるのは2019年熊本世界女子選手権と2020年東京オリンピックが、それぞれ「来年」そして「2年後」に迫っており、そんな確執が絶えない日本協会に「信用回復」などありえないということ。

ハンドボールは誰のものでもなく、みんなのものだ! 1日も早く日本協会の誰もが固く手を取り合い、声高々に「TOGETHER!」と叫んでほしい。未来のハンドボール、未来の子どもたちののために--。

参考までに「HANDBALL@STATION」ブログで「未来のハンドボールのために!」と題し、昨年6月からの経過をリポートしているのてご一読ください。